Mystery on the dish

Mystery on the dish By mooony
Mystery on the dish

一見シンプルで落ち着いた色調の作品だが、上品な皿の上に輝く金色(こんじき)の球体が、異彩を放っている。

2個、と言って良いのか、1対、と言うべきか。この球体の数に意味があるのかは不明だ。

そもそも、このゴールデンボール、いや、金色の球体は、食べ物なのだろうか。

皿には一点の曇りもなく、ナイフとフォークには何かが付着した痕跡も見当たらない。

また、作品の中には人物が描かれていないが、ナイフとフォークがテーブル上から皿の上に移動した痕跡が確認される以上、確かに人の存在が想起される。

さらに、ナイフとフォークのポジションを見る限り、この作品に描かれている場面は、食前や食中ではなく、「食後」だということがわかる。

つまり、作中人物は、この一品を前にして、皿の上に鎮座する2つのゴールデンボールを「食べられない」と考え、あるいは「食べたくない」と判断し、食事を終えているのだ。

私に可能な謎解きはここまでだが、ただひとつ、確信を持って言えることがある。

それは、本作品から作者のメッセージを読み解くためには、テーブルマナーに関する最低限の知見が必要だということだ。

芸術の深淵に触れるためには、時に社会人として一定の教養が求められる。

Mooonyはアートを通じて観るものを試し、謎かけをする。まるで神話に登場するエルフのように。

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